Nature ハイライト
量子力学:エンタングルした重ね合わせ状態の生成
Nature 521, 7552
コヒーレント量子状態はスクイーズできるため、この状態の1つの成分の量子ゆらぎは、他の成分を犠牲にして減らすことができる。こうしたスクイーズド状態が示す雑音レベルは非常に低いので、スクイーズド状態は、例えば重力波を検出しようとする際などの高精度測定に有用である。今回著者たちは、捕獲イオンに生成した量子調和振動子におけるスクイーズド状態の重ね合わせに成功した。この種の重ね合わせは、同時に生きておりかつ死んでいるという重ね合わせ状態に猫がなるシュレディンガーの思考実験との類似性から、シュレディンガーの猫状態と呼ばれることが多い。スクイーズド状態の重ね合わせを量子的な操作は、例えば電場を検出する際など、連続変数による量子処理や計測への応用に重要になる可能性がある。
2015年5月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:新たな幹細胞状態
神経科学:ドーパミン輸送体の構造
天文学:3つのIa型超新星は白色矮星同士の合体によるものか?
量子力学:エンタングルした重ね合わせ状態の生成
材料科学:非ジュール磁気ひずみが観測された
進化遺伝学:転写のノイズが自然選択の対象になる
幹細胞:iPS細胞の潜在能力の有無を示す細胞マーカー
がん:過剰なBCRシグナル伝達の抗がん作用
エボラウイルス:現在のエボラ流行株に対する治療
分子生物学:昆虫および脊椎動物での段階的スプライシング