Nature ハイライト
神経科学:ドーパミン輸送体の構造
Nature 521, 7552
ドーパミン輸送体は膜タンパク質で、神経伝達物質のドーパミンをシナプス間隙から取り除いて周囲の細胞の細胞質に運び入れ、それによって神経伝達物質によるシグナル伝達を終結させる。E Gouauxたちはショウジョウバエ(Drosophila)のドーパミン輸送体について、コカイン、D-アンフェタミン、メタンフェタミン、ドーパミンおよび2種類の抗うつ薬という多様な低分子物質が結合した状態のX線結晶構造を解いた。今回得られた構造は、神経伝達物質やコカインが生体アミン輸送体に結合する仕組みについての手掛かりを初めて示しただけでなく、タンパク質のリガンド結合部位が形を変え、形状もサイズも異なる構造的に無関係な低分子に結合してそれを受け入れる仕組みを示す良い例といえる。
2015年5月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:新たな幹細胞状態
神経科学:ドーパミン輸送体の構造
天文学:3つのIa型超新星は白色矮星同士の合体によるものか?
量子力学:エンタングルした重ね合わせ状態の生成
材料科学:非ジュール磁気ひずみが観測された
進化遺伝学:転写のノイズが自然選択の対象になる
幹細胞:iPS細胞の潜在能力の有無を示す細胞マーカー
がん:過剰なBCRシグナル伝達の抗がん作用
エボラウイルス:現在のエボラ流行株に対する治療
分子生物学:昆虫および脊椎動物での段階的スプライシング