Nature ハイライト
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
Nature 523, 7560
プロゲステロンとその受容体(PR)、およびエストロゲンとその受容体(ERαおよびERβ)は、乳腺の正常な発生や恒常性に重要なだけでなく、乳がんでも重要な役割を果たす。乳がんでは、これらの受容体の存在が、ERアンタゴニストに応答するかどうかの予後マーカーとして用いられている。これらの受容体機能の間にどんな関係性があるかはこれまで全く分かっていなかったが、今回J Carollたちが、この謎を解く重要な手掛かりを見つけた。PRがERαの機能を制御することを見いだしたのである。PRは、ERαが結合するクロマチン部位を変更することで、ERα+乳腺腫瘍の増殖ブレーキとして働く。そのため、PRをコードするPGR遺伝子の消失は乳がん患者の予後不良と関連する。
2015年7月16日号の Nature ハイライト
地球化学:大陸地殻の形成
植物科学:マメ科植物が窒素固定細菌を識別する仕組み
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
宇宙化学:天の川銀河に発見されたフラーレンC60
ナノスケール材料:量子ドットをつなぐペロブスカイト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
神経免疫学:脳のリンパ管系
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
システム生物学:調節経路の進化を系レベルで見る
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める