Nature ハイライト
神経免疫学:脳のリンパ管系
Nature 523, 7560
中枢神経系は、常に免疫による監視を受けているが、免疫細胞の「出口」となる経路については明らかにされていなかった。なぜなら、脳には古典的なリンパ排出系が欠如していると考えられてきたからである。今回、J Kipnisたちは、実は脳にも機能を備えたリンパ管があって、それは髄膜に存在し、これらが脳脊髄液から髄液と免疫細胞の両方を輸送できることを示した。中枢神経系に古典的なリンパ管システムが存在することは、脳の忍容性や「免疫特権」についての現行の考え方に見直しが必要であることを示唆している。さまざまな神経免疫学的疾患の根本的な原因は、髄膜のリンパ管の機能障害である可能性が出てきた。
2015年7月16日号の Nature ハイライト
地球化学:大陸地殻の形成
植物科学:マメ科植物が窒素固定細菌を識別する仕組み
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
宇宙化学:天の川銀河に発見されたフラーレンC60
ナノスケール材料:量子ドットをつなぐペロブスカイト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
神経免疫学:脳のリンパ管系
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
システム生物学:調節経路の進化を系レベルで見る
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める