Nature ハイライト
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める
Nature 523, 7560
HIVなどのレトロウイルスはRNAゲノムを持っていて、これが逆転写されて二本鎖DNAとなってから、宿主ゲノムへ挿入される。組み込みにはインタソームが関与している。インタソームはウイルスDNA端に結合したインテグラーゼタンパク質四量体で、これが宿主クロマチンと相互作用する。P Cherepanovたちは今回、ヌクレオソームと結合しているインタソームの構造を解いた。ヌクレオソームはクロマチンの基本構造要素で、ヒストン八量体周囲にDNAが巻きついた構造である。インタソームは、H2A–H2Bヘテロ二量体領域上で八量体からDNAを持ち上げていることが分かった。こうした特性があることで、ウイルスDNAを組み込む部位が指示され、このような接触が消失すると組み込み位置を決める際の選好性が失われる。
2015年7月16日号の Nature ハイライト
地球化学:大陸地殻の形成
植物科学:マメ科植物が窒素固定細菌を識別する仕組み
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
宇宙化学:天の川銀河に発見されたフラーレンC60
ナノスケール材料:量子ドットをつなぐペロブスカイト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
神経免疫学:脳のリンパ管系
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
システム生物学:調節経路の進化を系レベルで見る
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める