Nature ハイライト
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
Nature 523, 7560
スフィンゴシン 1-リン酸(S1P)は、血液およびリンパ液中に多く存在する脂質メディエーターであり、さまざまな生理的機能を調節するシグナル物質である。S1PはGタンパク質共役受容体を介して作用し、免疫細胞の輸送を調節する。今回、自身のシャペロンであるアポリポタンパク質M(ApoM)に結合したS1Pが、骨髄リンパ球前駆細胞上のS1P1受容体を活性化することによって、新たなリンパ球形成を抑制し、その結果として適応免疫応答を抑制することが、マウスを使って明らかにされた。だが、ApoM–S1Pはリンパ球の輸送には必要とされない。リンパ球輸送を担うのは血漿中S1Pで、こちらは多発性硬化症の治療薬として最近認可された免疫調整薬であるフィンゴリモドの標的である。
2015年7月16日号の Nature ハイライト
地球化学:大陸地殻の形成
植物科学:マメ科植物が窒素固定細菌を識別する仕組み
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
宇宙化学:天の川銀河に発見されたフラーレンC60
ナノスケール材料:量子ドットをつなぐペロブスカイト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
神経免疫学:脳のリンパ管系
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
システム生物学:調節経路の進化を系レベルで見る
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める