Nature ハイライト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
Nature 523, 7560
幹細胞ニッチは短距離のシグナルを出しており、幹細胞のみがそれらのシグナルに応答し、分化途上の子孫細胞は応答しない。このような選択性を可能にする仕組みについては、まだよく分かっていない。山下由起子(米国ミシガン大学)たちは今回、ショウジョウバエ(Drosophila)の雄の生殖系列幹細胞が、「微小管依存性ナノチューブ(microtubule-based nanotube)」という、これまで知られていなかった構造を形成しており、これが幹細胞ニッチの主要構成要素であるハブまで伸びて、ニッチ–幹細胞シグナル伝達に関与していることを報告している。これらのナノチューブは、幹細胞ニッチから送られてくるシグナルの受容体を備えており、そうした自己再生シグナルを生殖系列幹細胞へ伝えるために必要である。
2015年7月16日号の Nature ハイライト
地球化学:大陸地殻の形成
植物科学:マメ科植物が窒素固定細菌を識別する仕組み
がん:乳がんでのステロイド受容体のクロストーク
宇宙化学:天の川銀河に発見されたフラーレンC60
ナノスケール材料:量子ドットをつなぐペロブスカイト
発生生物学:ナノチューブで情報交換する幹細胞
神経免疫学:脳のリンパ管系
免疫学:リンパ球形成のスフィンゴ脂質による抑制
システム生物学:調節経路の進化を系レベルで見る
構造生物学:レトロウイルス組み込みの選択性を突き止める