Nature ハイライト
Cover Story:金を一振り:金ナノ結晶のドーピングで半導体ナノ結晶超格子の電子特性を調節する
Nature 524, 7566
表紙は、金ナノ結晶によるドーピングを行ったナノ結晶超格子である。この方法では、半導体超格子の秩序立った配列は乱されない。ドーピングは、半導体、希薄磁性材料や蛍光体で広く用いられている手法で、ホスト材料に外部から原子を添加することで、電子特性や磁気特性、光学特性の改良や新規導入を行う過程である。今回C Murrayたちは、原子の代わりに人工原子(均一なナノ結晶)が使われるナノ結晶超格子に置換ドーピングの概念を取り入れた。半導体(CdSeまたはPbSe)ナノ結晶超格子中に金ナノ結晶がランダムに取り込まれることが示され、超格子中のナノ結晶は、同じサイズならば組成の異なるナノ結晶で置換できることが実証された。こうした手法によって作られた材料の導電率は、ドーパントの密度と分布に左右される金属パーコレーション経路によって調整される。今回の新手法は自己集合を利用しているため、多様な材料や混合物に広く応用できると考えられる。
2015年8月27日号の Nature ハイライト
進化学:真核生物が有する原核生物遺伝子の起源
構造生物学:明らかになったフリッパーゼの機構
プラズマ物理学:航跡場プラズマによって加速される陽電子
フォトニクス:銅によってさらに実用化に近づいた原子レーザー
化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する
発生生物学:無脊椎動物に見られる頭部様の前駆構造
神経科学:網膜の運動検出器の解明
発生生物学:Mycによる細胞競合
細胞生物学:タンパク質輸送に関連したミトコンドリア機能障害