Nature ハイライト
フォトニクス:銅によってさらに実用化に近づいた原子レーザー
Nature 524, 7566
短波長レーザーでコヒーレントX線を生成することは、X線科学の長年の目標であった。これまで、X線自由電子レーザーで励起するネオン原子を用いた原子レーザーが軟X線用に開発されている。今回、米田仁紀(電気通信大学ほか)たちは固体銅ターゲットを使って、硬X線領域の1.54 Åの原子レーザーを実現した。ターゲットは、SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)によってイオン化され、増幅された強い自然放出が実現された。得られた原子レーザーは、X線自由電子レーザー励起パルスよりエネルギーの高いX線ビームを生成した。その波長は、これまでの報告されたものの約10分の1であり、超高速X線分光法や量子光学に多くの機会が開かれるであろう。
2015年8月27日号の Nature ハイライト
進化学:真核生物が有する原核生物遺伝子の起源
構造生物学:明らかになったフリッパーゼの機構
プラズマ物理学:航跡場プラズマによって加速される陽電子
フォトニクス:銅によってさらに実用化に近づいた原子レーザー
化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する
発生生物学:無脊椎動物に見られる頭部様の前駆構造
神経科学:網膜の運動検出器の解明
発生生物学:Mycによる細胞競合
細胞生物学:タンパク質輸送に関連したミトコンドリア機能障害