Nature ハイライト

構造生物学:明らかになったフリッパーゼの機構

Nature 524, 7566

反転運動(flipping)と呼ばれる、膜二重層間の脂質の転位は、脂質非対称性の維持に必須で、シグナル伝達や小胞形成などの過程に必要である。大きな極性頭部を含み、膜に埋め込まれた脂質の反転は遅く、エネルギー的に不利である。この過程はフリッパーゼにより触媒されるが、その機構は今のところよく分かっていない。今回著者たちは、Campylobacter jejuniで脂質結合オリゴ糖(LLO)の反転運動を促進する、ABC輸送体PglKの内向きと外向き状態のX線結晶構造を解いた。それらの構造とそれに続く生化学実験より、独特な機構が明らかになった。LLOのポリプレニル尾部は脂質二重層に部分的に埋め込まれたままで、ピロリン酸オリゴ糖頭部がATPの加水分解後、反転して外向きのキャビティに入る。

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