Nature ハイライト
進化学:真核生物が有する原核生物遺伝子の起源
Nature 524, 7566
真核生物ゲノムに見られる原核生物遺伝子は、原核生物が細胞内共生によって細胞小器官となった後にゲノム内に入り込んだものと長年考えられてきた。しかし近年の証拠から、真核生物同士の間でも、原核生物と真核生物の間でも、遺伝子水平伝播がかなりの程度で起こっていることが示唆されている。そこで今回、細菌やアーキア、真核生物のゲノム解析が行われたが、持続的な遺伝子水平伝播が真核生物の遺伝子含量の進化に検知可能な累積的影響を及ぼしたことを示す証拠は見いだされなかった。真核生物はむしろ、ミトコンドリアや色素体の起源に対応する2回の進化的流入で原核生物遺伝子を獲得し、その後に遺伝子の大規模な差次的喪失が起こったと考えられる。こうした経緯で、複雑な細胞の核ゲノム内に細胞内共生の大きな痕跡が残ったのである。
2015年8月27日号の Nature ハイライト
進化学:真核生物が有する原核生物遺伝子の起源
構造生物学:明らかになったフリッパーゼの機構
プラズマ物理学:航跡場プラズマによって加速される陽電子
フォトニクス:銅によってさらに実用化に近づいた原子レーザー
化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する
発生生物学:無脊椎動物に見られる頭部様の前駆構造
神経科学:網膜の運動検出器の解明
発生生物学:Mycによる細胞競合
細胞生物学:タンパク質輸送に関連したミトコンドリア機能障害