Nature ハイライト
化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する
Nature 524, 7566
遷移金属触媒を用いて新しい炭素–炭素結合を形成する方法で、医薬品をはじめとするさまざまな小分子が合成されている。1種類の金属で選択的変換や高効率変換を促進できない場合には、2種類の触媒の相乗的協同作用、すなわち多金属触媒作用を利用することができる。しかし、この手法の用途は、主として反応性の異なる金属を使用する場合に限られていた。今回、ニッケル触媒とパラジウム触媒の協同性を用いることで、臭化アリールとアリールトリフラートを、アリール金属試薬を用いることなく直接カップリングできることが示された。どちらか片方の触媒だけでは、形成されるクロスカップリング生成物は5%未満だが、両方の触媒を用いることで収率が最高で94%に達する。こうした結果から、ビアリール、ヘテロアリール、ジエンの新しい一般的な合成法が明らかとなり、今のところ事前調製された有機金属試薬を用いて合成されている多くの医薬品の合成が単純化されるはずである。
2015年8月27日号の Nature ハイライト
進化学:真核生物が有する原核生物遺伝子の起源
構造生物学:明らかになったフリッパーゼの機構
プラズマ物理学:航跡場プラズマによって加速される陽電子
フォトニクス:銅によってさらに実用化に近づいた原子レーザー
化学:複数の触媒で炭素–炭素結合を形成する
発生生物学:無脊椎動物に見られる頭部様の前駆構造
神経科学:網膜の運動検出器の解明
発生生物学:Mycによる細胞競合
細胞生物学:タンパク質輸送に関連したミトコンドリア機能障害