Nature ハイライト
心疾患:僧帽弁異常の遺伝的原因
Nature 525, 7567
非症候群性の僧帽弁逸脱(MVP)は一般的な心臓弁疾患であるが、その遺伝的原因はよく分かっていない。今回S Slaugenhauptたちは3家系でMVPと遺伝的に分離するDCHS1遺伝子の2つの変異を報告している。ゼブラフィッシュのホモログdachsous1bのノックダウンは心臓房室管の欠損を引き起こし、これは野生型のヒトDCHS1 mRNAにより救済されたが、変異型DCHS1 mRNAでは救済されなかった。Dchs1+/−マウスでは、弁の形態形成での発生エラーに起因する肥厚した僧帽弁尖の逸脱が見られた。ヒトおよびマウスの僧帽弁間質細胞でのDCHS1欠損の結果、細胞の遊走とパターン形成の異常が生じる。僧帽弁発生とMVP病態発現でのDCHS1の役割を理解することで、非常に一般的なこの疾患の治療の手掛かりが得られる可能性がある。
2015年9月3日号の Nature ハイライト
神経科学:神経変性の新しい機構
神経科学:シナプトタグミン–SNARE複合体の構造
構造生物学:ホスホン酸塩の細菌による分解
超伝導:超伝導のさらなる展望
DNAナノ構造:DNA折り紙をもっとコントロール
気候科学:水は用途によって違う
生物地理学:植物種の移出入
心疾患:僧帽弁異常の遺伝的原因
がん:変異型PIK3CAが乳腺細胞の運命に与える影響
細胞生物学:食餌はミトコンドリアの健康状態に影響する
免疫学:方向性特異的なDNA連結