Nature ハイライト
神経疾患:アルツハイマー病のアミロイドβ病変の伝播についての手掛かり
Nature 525, 7568
小児期に、プリオンに汚染された死後脳由来のヒト成長ホルモン(hGH)による治療を受けた患者が、医原性クロイツフェルト・ヤコブ病(iCJD)を発症している。このような治療は1985年に中止されたが、CJDは潜伏期間が長いため、新しい症例がいまだ発生し続けている。意外なことに、このようなiCJD患者8人(年齢36~51歳)の剖検研究で、アルツハイマー病で典型的に見られる灰白質のアミロイドβ(Aβ)沈着と、脳アミロイド血管症の特徴である血管壁へのAβ沈着があることが明らかにされた。これらの患者は、早期発症型アルツハイマー病に関連する病原性変異あるいは高リスク対立遺伝子のいずれも持っていなかった。Aβ病変はhGHの投与を受けたプリオン感染者のみに検出されたことは重要である。これは、CJDに加え、Aβ病変にも医原性伝播があることと一致しており、また、hGHに曝露された健常者にも医原性のアルツハイマー病および脳アミロイド血管症を発症するリスクがあるという可能性を示唆している。
2015年9月10日号の Nature ハイライト
がん:変異型p53はヒストンメチル化と関連する
構造生物学:ヒトγ-セクレターゼの構造
宇宙物理学:星形成銀河中の一酸化炭素雲
材料化学:タンパク質–DNAハイブリッドを作る新しい方法
大気科学:海上大気中で氷を形成する「生物学的な」粒子
神経科学:ドーパミン作動性ニューロンとGABA作動性ニューロンが報酬を評価
神経疾患:アルツハイマー病のアミロイドβ病変の伝播についての手掛かり
計算生物学:集団の中で希少な細胞を目立たせる
がん:固形腫瘍進化の3Dモデル
植物科学:植物ホルモンであるジャスモン酸のシグナル伝達