Nature ハイライト
植物科学:植物ホルモンであるジャスモン酸のシグナル伝達
Nature 525, 7568
植物ホルモンであるジャスモン酸によって引き起こされるシグナル伝達の経路は、植物のストレス応答に加えて、成長や発生も調節している。分子レベルでは、JAZ(jasmonate ZIM-domain)タンパク質はジャスモン酸の共受容体として機能するだけでなく、ジャスモン酸シグナルの伝達に必要とされる転写因子MYCの活性化を抑制する。S Heたちは今回、X線結晶構造学の手法を使って、JAZタンパク質が転写抑制因子とジャスモン酸共受容体という2つの役割をどうやって切り替えられるのかという疑問の解決を試みた。以前の研究から、JAZ抑制因子の保存されたJasモチーフが構造が部分的にほどけたヘリックスとしてジャスモン酸と結合することが示唆されていた。だが、著者たちはJasモチーフはMYCに結合する際に完全なαヘリックスを形成することを見いだした。その結果、JasモチーフはMYCのN末端の折りたたみ構造に不可欠な部分となって、MYCに顕著なコンホメーション変化をもたらす。こうした競合的結合が起こったことで、転写に関わるメディエーター複合体のサブユニットの1つとMYCとの相互作用が阻害され、転写活性が抑制されるのである。
2015年9月10日号の Nature ハイライト
がん:変異型p53はヒストンメチル化と関連する
構造生物学:ヒトγ-セクレターゼの構造
宇宙物理学:星形成銀河中の一酸化炭素雲
材料化学:タンパク質–DNAハイブリッドを作る新しい方法
大気科学:海上大気中で氷を形成する「生物学的な」粒子
神経科学:ドーパミン作動性ニューロンとGABA作動性ニューロンが報酬を評価
神経疾患:アルツハイマー病のアミロイドβ病変の伝播についての手掛かり
計算生物学:集団の中で希少な細胞を目立たせる
がん:固形腫瘍進化の3Dモデル
植物科学:植物ホルモンであるジャスモン酸のシグナル伝達