Nature ハイライト

量子物理学:ベル不等式の新しい検証

Nature 526, 7575

実験が行われたデルフト工科大学(オランダ)のキャンパス。両端のダイヤモンドはそれぞれ電子スピンの場所、中央やや左下は観測点、それぞれをつなぐ光線は電子間の光子の通り道を示す。電子スピン間の距離は1.3 km。
実験が行われたデルフト工科大学(オランダ)のキャンパス。両端のダイヤモンドはそれぞれ電子スピンの場所、中央やや左下は観測点、それぞれをつなぐ光線は電子間の光子の通り道を示す。電子スピン間の距離は1.3 km。 | 拡大する

Credit: Photography by Slagboom en Peters BV

1964年にジョン・ベルが発表した有名な定理であるベル不等式は、自然が局所実在性を満たすかどうかを実験的に検証する基盤としての役割を長い間果たしている。今日まで行われた実験は全て、局所実在仮説が棄却されることを示唆している。しかし、実験には限界があるため、こうした検証は全て、局所性ループホールか検出ループホールのいずれかに悩まされた。今回R Hansonたちは、こうしたループホールを閉じたベル不等式の検証を行っている。その結果は、局所実在仮説を2標準偏差でしか棄却していないが、ベル不等式の破れと一致している。今回の実験設定では統計について改善の余地があるため、より強固な結果が今後得られる可能性がある。ループホールのないベル不等式の検証は、基本的に重要であるだけでなく、量子情報処理における重要な構成要素となる。

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