Nature ハイライト
気候変動:将来の降水量に対するモデル計算の答え
Nature 528, 7581
降水量の増加は、気候モデルによる将来予測の主要な特徴である。しかし、増加量の予測には大きな不確実性があり、この不確実性は減らすことはもとより、理解することさえ困難であった。A DeAngelisたちは今回、予測の幅の大半は、一見基本的な過程、つまり大気による短波放射の吸収に起因することを示している。将来予測されるような湿潤な大気では湿度がより高くなるため、降水量は増えるはずであるが、より高い湿度は同時に、短波吸収を増加させるはずである。今回の解析結果から、モデルでは、観測による制約と比べてシミュレートする短波吸収の増加が小さ過ぎるため、降水量が大きくなり過ぎることが示されている。吸収を制御する放射伝達アルゴリズムをよりよく絞り込み、標準化することができれば、不確実性が減り、平均推定値が約40%小さくなる可能性があると思われる。
2015年12月10日号の Nature ハイライト
量子物理学:手に負えないスペクトルギャップ問題
細胞内シグナル伝達:カルシウムシグナルを介した食餌刺激
多能性幹細胞:CAF-1は細胞運命の変化を阻止する障壁である
免疫学:Treg細胞の居場所と自己免疫
分子生物学:Pol IIIの高分解能構造
触媒化学:高まるディーゼル燃料生産の将来性
気候変動:将来の降水量に対するモデル計算の答え
固体地球科学:岩石の摩擦はスケールの問題
心理学:子供が「それは不公平だ」と思うようになるとき
微生物学:メトホルミンが腸内マイクロバイオームに与える影響
がん幹細胞:腫瘍の不均質性の急速な進化