Nature ハイライト
固体地球科学:岩石の摩擦はスケールの問題
Nature 528, 7581
断層における摩擦すべりは地震時の破断を支配しており、室内実験による岩石の摩擦特性に関する研究に多くの努力が払われている。今回、地球の地殻を調べるために行われた室内実験の結果についてこれまで用いられていたスケーリングでは、試料のサイズの影響が的確に考慮されていなかったことが示された。山下太(防災科学技術研究所)たちは、一般的に用いられているセンチメートルサイズの岩石試料ではなく、メートルサイズの岩石試料を用いて、メートルサイズの範囲ではより小さい試料より1桁小さい仕事率で摩擦が減少し始めることを明らかにした。著者たちは、摩擦すべりによってガウジ物質がより多く生成される応力集中領域が存在し、こうした領域ではさらなる応力集中が生じると提案している。こうした不均一性は自然界では一般的なので、著者たちは、小さい岩石試料から見積もられる特性から予想されるよりも速く、自然断層の強度が失われる可能性があると結論している。
2015年12月10日号の Nature ハイライト
量子物理学:手に負えないスペクトルギャップ問題
細胞内シグナル伝達:カルシウムシグナルを介した食餌刺激
多能性幹細胞:CAF-1は細胞運命の変化を阻止する障壁である
免疫学:Treg細胞の居場所と自己免疫
分子生物学:Pol IIIの高分解能構造
触媒化学:高まるディーゼル燃料生産の将来性
気候変動:将来の降水量に対するモデル計算の答え
固体地球科学:岩石の摩擦はスケールの問題
心理学:子供が「それは不公平だ」と思うようになるとき
微生物学:メトホルミンが腸内マイクロバイオームに与える影響
がん幹細胞:腫瘍の不均質性の急速な進化