Nature ハイライト
環境微生物学:硝化を考え直すべきとき
Nature 528, 7583
今回2つの研究グループが、完全な硝化の触媒に必要な酵素の遺伝子を全て備えたニトロスピラ(Nitrospira)属細菌の濃縮と特性解析について報告している。こうした完全硝化は「完全なアンモニア酸化(complete ammonia oxidation;comammox)」と呼ばれる。硝化は2段階の反応であり、これには栄養共生関係にある2種類の生物が関与するとこれまで考えられていた。系統発生解析から、comammoxのニトロスピラ属細菌はさまざまな環境に存在することが示唆されているため、今回の発見は窒素循環についての見方を根本から変化させる可能性があり、また、硝化の研究にも新たな領域を開くだろう。
2015年12月24日号の Nature ハイライト
化学:ネットワーク解析を用いた複雑分子の合成戦略
集団遺伝学:古代DNAから推定される選択圧
環境微生物学:硝化を考え直すべきとき
発症機序:嚢胞性繊維症インタラクトーム
免疫学:17型ヘルパーT細胞の病原性を修飾する因子
高エネルギー宇宙物理学:明らかにされた高速電波バースト天体
工学:全てを備えたチップ
材料科学:マグネシウム合金複合材料の新しい作製法
免疫学:腸の修復機構
結核:ATG5タンパク質の感染防御における役割