Nature ハイライト
神経科学:神経発達障害に見られるPTCHD1欠失
Nature 532, 7597
ヒトでは、PTCHD1遺伝子の異常は、注意欠陥、知的障害、および自閉症スペクトラム障害と関連付けられているが、関与する脳領域は分かっていない。G Fengたちは今回、マウスでPtchd1を欠失させると、カルシウム依存性カリウム電流(SK)の減少によって、視床網様体核(TRN)の活動が減弱することを報告している。TRNに限定してPtchd1を欠失させたマウスでは、睡眠の断片化、注意欠陥と多動が起こり、これらの症状はSKチャネルの活性化剤によって救済された。それとは対照的に、Ptchd1を全般的に欠失させたマウスは、学習障害、攻撃性の亢進と運動障害を示し、これらの症状はSKチャネル活性化剤では改善されなかった。これらの知見から、神経発達障害と関連するいくつかの障害の基盤にはTRNの障害があることが示唆され、PTCHD1を欠失する患者のための治療標的候補が明らかになった。
2016年4月7日号の Nature ハイライト
生物地球化学:土壌管理で気候変動を緩和する
神経科学:神経発達障害に見られるPTCHD1欠失
微生物学:ヒト真菌病原体で見つかった毒素
素粒子宇宙物理学:近傍の超新星の同位体記録
気候科学:過去12世紀の水文気候変動
生物地理学:最終氷期極大期以後の島の生物多様性
神経科学:捕食者のにおいに応答する神経回路
幹細胞:半数体のヒト幹細胞
免疫学:Lypd8は上皮から微生物相を隔離する
構造生物学:レナリドミドはがんタンパク質を分解の標的にする