Nature ハイライト
気候科学:過去12世紀の水文気候変動
Nature 532, 7597
将来の水文気候変動は、より大きな社会的混乱をもたらすものの1つとなる可能性があるが、過去の水文気候の半球規模の変動は、木の年輪に基づく再構築以外にはほとんど分かっていない。F Ljungqvistたちは今回、木の年輪、氷床コア、泥炭、鍾乳石、湖と海洋の堆積物、文書の証拠などの一連の記録を集め、過去12世紀の北半球の水文気候変動を再構築した。9、10、11、20世紀は比較的湿潤であったのに対して、12から19世紀にかけてはより乾燥していた。この再構築結果は、20世紀になるまではモデルシミュレーションの結果とおおむね一致している。それ以降は、複数のモデルシミュレーションで、極端な乾燥と湿潤が今回のデータに見られるよりもずっと高い頻度で現れる。今回の比較は、モデルが重要な過程を見落としている可能性と、水文気候条件の変化の予測がまだ不確実であることを示唆している。
2016年4月7日号の Nature ハイライト
生物地球化学:土壌管理で気候変動を緩和する
神経科学:神経発達障害に見られるPTCHD1欠失
微生物学:ヒト真菌病原体で見つかった毒素
素粒子宇宙物理学:近傍の超新星の同位体記録
気候科学:過去12世紀の水文気候変動
生物地理学:最終氷期極大期以後の島の生物多様性
神経科学:捕食者のにおいに応答する神経回路
幹細胞:半数体のヒト幹細胞
免疫学:Lypd8は上皮から微生物相を隔離する
構造生物学:レナリドミドはがんタンパク質を分解の標的にする