Nature ハイライト
生物地理学:最終氷期極大期以後の島の生物多様性
Nature 532, 7597
島の生物多様性に関する現在のモデルは、島が地質学的に静的であって、それを背景にして生物の移入と絶滅が起こると捉えるか、あるいは、島は数百万年にわたって地質学的およびテクトニクス的な変化に影響を受ける動的なものだと捉えるかのどちらかである。しかし、いずれのモデルも過去2万年ほどにわたる急速な変化に対応していない。この期間は、氷冠が融解して海水準が100 m以上上昇した時期で、その結果、大陸は分断され、小さな島々はさらに面積を縮小して陸地からも遠ざかった。今回P Weigeltたちは、そうした海水準の上昇が島の植物の生物多様性に無視できない影響を与えたことを明らかにした。特に、最終氷期極大期に面積が広かった島ほど、現在の面積や大陸との距離から予測されるよりも現在の固有種が多くなっているが、その一方で在来種の数は基本的に予測と一致している。
2016年4月7日号の Nature ハイライト
生物地球化学:土壌管理で気候変動を緩和する
神経科学:神経発達障害に見られるPTCHD1欠失
微生物学:ヒト真菌病原体で見つかった毒素
素粒子宇宙物理学:近傍の超新星の同位体記録
気候科学:過去12世紀の水文気候変動
生物地理学:最終氷期極大期以後の島の生物多様性
神経科学:捕食者のにおいに応答する神経回路
幹細胞:半数体のヒト幹細胞
免疫学:Lypd8は上皮から微生物相を隔離する
構造生物学:レナリドミドはがんタンパク質を分解の標的にする