Nature ハイライト
素粒子宇宙物理学:近傍の超新星の同位体記録
Nature 532, 7597
20年前に、超新星のデブリそのものの堆積や大気中での宇宙線による核破砕に起因する地質学的同位体異常という形で、近傍の超新星爆発の痕跡が地球上に残されている可能性が提案された。そしてそれは、超新星の指標物である60Feが深海底の鉄マンガンクラスト内で見つかったことで立証された。今回2つの論文によって、この描像の細部がさらに明らかになり、過去数百万年間に数百光年以内で複数の超新星が生じたことが示唆されている。A Wallnerたちは、深海底の60Feシグナルが全球的で、時間的に広がっており、星間で起きた複数の事象を起源としていることを報告している。彼らは、170~320万年前と650~870万年前に60Feの星間フラックスが地球に降下したことを明らかにした。D Breitschwerdtたちは、可能性の最も高い超新星前駆天体の軌跡と質量を計算して、そこから推定された爆発の時期や場所を報告している。60Feシグナルは、90~100パーセクの距離にある2つの超新星に起因しており、230万年前に最も近い所で太陽質量の9.2倍の超新星が生じ、150万年前に次に近い所で太陽質量の8.8倍の超新星が生じた。
2016年4月7日号の Nature ハイライト
生物地球化学:土壌管理で気候変動を緩和する
神経科学:神経発達障害に見られるPTCHD1欠失
微生物学:ヒト真菌病原体で見つかった毒素
素粒子宇宙物理学:近傍の超新星の同位体記録
気候科学:過去12世紀の水文気候変動
生物地理学:最終氷期極大期以後の島の生物多様性
神経科学:捕食者のにおいに応答する神経回路
幹細胞:半数体のヒト幹細胞
免疫学:Lypd8は上皮から微生物相を隔離する
構造生物学:レナリドミドはがんタンパク質を分解の標的にする