Nature ハイライト
超伝導:クーパー対凝縮体の可視化
Nature 532, 7599
超伝導は、逆向きの運動量とスピンを持つ電子の対が結合して、クーパー対と呼ばれる運動量がゼロの新しい量子状態を形成するときに生じる、というのが超伝導に関する従来の見方である。理論的には、有限の運動量を持つそうした対が存在し得るため、クーパー対密度が空間変調した状態が生じることになる。そのような状態は、極低温リチウム6ガスにおいて生成されているが、超伝導体ではこれまで観測されていなかった。今回、S Davisたちは、ジョセフソントンネル顕微鏡法を使って、超伝導性の顕微鏡探針からBi2Sr2CaCu2O8+xの量子凝縮体へトンネルするクーパー対を撮像し、空間変調されたクーパー対密度が予想どおり観察されたことを示している。
2016年4月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:骨髄血管の専門化
エピジェネティクス:哺乳類ゲノムにおけるN6-アデニンのメチル化
構造生物学:抗うつ剤の構造活性相関
宇宙物理学:孤立銀河に見つかった超大質量ブラックホール
超伝導:クーパー対凝縮体の可視化
考古学:フローレス原人の年代はもっと古かった
神経科学:皮質興奮性ネットワークのコネクトミクス
細胞生物学:マグネシウムイオンを用いる生物時計
幹細胞:加齢に関連した骨髄の変化
微生物学:CRISPR–Cas免疫に見られる多様性