Nature ハイライト
考古学:フローレス原人の年代はもっと古かった
Nature 532, 7599
インドネシア・フローレス島のリャン・ブア洞窟で、「ホビット」として知られる小柄な旧人類であるフローレス原人(Homo floresiensis)が発見されたことは、2004年の考古学上の大事件だった。これが大きな議論を巻き起こした要因は、フローレス原人がリャン・ブア洞窟にいた年代が9万5000年~1万2000年前であり、現生人類がこの地域に定着した年代(約5万年前)よりも後まで存続していたためであった。当時の調査チームのT Sutiknaをはじめとする多くのメンバーはその後、他の研究者らとチームを組んでリャン・ブアを再び訪れ、洞窟内の未調査部分を新たな発掘によって調べた。その結果、洞窟内の堆積層は均一に堆積しておらず、フローレス原人を含む層は考えられていたよりも古いらしいことが分かった。新たな放射年代測定から、フローレス原人の遺骨と石器の年代は19万~5万年前となった。従って、島に到来した現生人類に遭遇するまでフローレス原人が存続していたかどうかは、議論の余地がある問題である。
2016年4月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:骨髄血管の専門化
エピジェネティクス:哺乳類ゲノムにおけるN6-アデニンのメチル化
構造生物学:抗うつ剤の構造活性相関
宇宙物理学:孤立銀河に見つかった超大質量ブラックホール
超伝導:クーパー対凝縮体の可視化
考古学:フローレス原人の年代はもっと古かった
神経科学:皮質興奮性ネットワークのコネクトミクス
細胞生物学:マグネシウムイオンを用いる生物時計
幹細胞:加齢に関連した骨髄の変化
微生物学:CRISPR–Cas免疫に見られる多様性