Nature ハイライト
微生物学:CRISPR–Cas免疫に見られる多様性
Nature 532, 7599
原核生物におけるCRISPR–Cas適応免疫系は、ウイルスや他の侵入可動性遺伝因子に由来するスペーサー塩基配列を用い、これらのエレメントを塩基配列特異的な様式で標的とし、破壊する。その結果、細菌集団内でのスペーサーの多様性は高いことが多いが、ウイルスはエスケープ変異を進化させることによりスペーサーの多様性に打ち勝つと考えられているため、多様性の重要性は分かっていない。今回E Westraたちは実験的進化研究によって、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)バクテリオファージとその宿主細菌の共進化を追跡し、スペーサーの多様性が高いと、ウイルス感染の高特異性との相乗効果によって、実際にウイルス集団を消滅させられることを証明した。これらのデータから、スペーサーの多様性の高さは、CRISPR–Cas免疫がうまく働くために非常に重要であり、それはウイルスの免疫回避能力を制限するからだということが分かった。
2016年4月21日号の Nature ハイライト
幹細胞:骨髄血管の専門化
エピジェネティクス:哺乳類ゲノムにおけるN6-アデニンのメチル化
構造生物学:抗うつ剤の構造活性相関
宇宙物理学:孤立銀河に見つかった超大質量ブラックホール
超伝導:クーパー対凝縮体の可視化
考古学:フローレス原人の年代はもっと古かった
神経科学:皮質興奮性ネットワークのコネクトミクス
細胞生物学:マグネシウムイオンを用いる生物時計
幹細胞:加齢に関連した骨髄の変化
微生物学:CRISPR–Cas免疫に見られる多様性