Nature ハイライト

神経科学:何枚もの視覚野地図

Nature 533, 7601

視覚野の地図の解剖学的基盤は、長い間議論されてきた。今週号の2編の論文で、視床からのオン入力とオフ入力の配置が足場となって、その周囲に視覚野の他の地理的性質が構成されていることが示された。D Fitzpatrickたちは、ツパイの一次視覚野(V1)は、オンサブ受容野とオフサブ受容野が、中央にあるオフ主体のサブ受容野がオン主体のサブ受容野によって取り囲まれるように配置していることを示した。この配置から、方位選択性の円柱状地図と、新たに見つかった、絶対空間位相の円柱状地図が生じる。J Alonsoたちは、ネコとマカクザルのV1にも、同様なオン入力とオフ入力の地理的構成があることを示した。さらに、オン領域とオフ領域が眼優位性の円柱と直交するように走り、この配置が方位選択性やレチノトピーばかりでなく、移動方向選択性や網膜視差の構成をも決めているということも分かった。オフ経路が皮質のレチノトピーのアンカーとして働くこと、そしてこれが異なる動物種での別のV1地図の基盤を提供することを示すことにより、これらの2つの研究は、皮質地図構築の基本原理を明らかにしている。

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