Nature ハイライト
細胞生物学:単一タンパク質が触媒するユビキチン化
Nature 533, 7601
ユビキチン化は多くの細胞過程で重要な調節機構であり、いくつかの病原性細菌は、このタンパク質分解経路を標的として利用し、自身の増殖を促進するよう進化してきた。ユビキチン化は、E1、E2、E3と呼ばれる3つの酵素が関与する、複数酵素の連続的カスケードにより触媒される。今回Z Luoたちは、これまでに知られていなかったユビキチン化機構について報告している。この機構はE1およびE2には依存せず、病原性細菌Legionella pneumophilaがコードするSidEエフェクターファミリーのメンバーにより仲介される。彼らは、SidEエフェクターが、ADP-リボシル化によるユビキチン活性化に依存する機序で複数のRab低分子量GTPアーゼをユビキチン化するため、E1およびE2酵素による活性化が必要でないことを明らかにした。今回の研究で、1つの酵素だけでユビキチン化が起こることが明らかになったが、今後、この独特な翻訳後修飾機構の機能的な意味を解明する研究が必要とされる。
2016年5月5日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核時計を実現するときが来たのか
神経科学:何枚もの視覚野地図
生物工学:害虫のBt毒素耐性に打ち勝つ
材料科学:新しい極性金属、理論から合成へ
幹細胞:パーキンソン病におけるSNCA遺伝子
エボラウイルス:致死的エボラウイルス病が示す免疫学的マーカー
ウイルス学:HIV-1感染に対する免疫学的予防
免疫学:オートファジーとループスの病因
細胞生物学:単一タンパク質が触媒するユビキチン化
遺伝子工学:幹細胞のCRISPR/Cas9による編集