Nature ハイライト
生物工学:害虫のBt毒素耐性に打ち勝つ
Nature 533, 7601
細菌Bacillus thuringiensis由来の殺虫性タンパク質であるδエンドトキシン(Bt毒素)に対して耐性を持つ昆虫の出現によって、遺伝子操作でBt毒素を導入した作物の有効性の低下が懸念されている。今回D Liuたちは、ファージ補助型連続的進化(PACE)選択法を使って、高親和性のタンパク質–タンパク質相互作用を迅速に進化させる方法を開発し、この系をBt毒素に適用して、昆虫の消化管細胞にある新しい標的タンパク質[イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)のカドヘリン様受容体]に結合してこの害虫を殺す変異型Bt毒素を進化させた。これらの変異型Bt毒素は、Bt毒素に対する耐性に打ち勝って効果を示し、その致死性は耐性を持たない昆虫に対する野生型Bt毒素のものに近かった。
2016年5月5日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核時計を実現するときが来たのか
神経科学:何枚もの視覚野地図
生物工学:害虫のBt毒素耐性に打ち勝つ
材料科学:新しい極性金属、理論から合成へ
幹細胞:パーキンソン病におけるSNCA遺伝子
エボラウイルス:致死的エボラウイルス病が示す免疫学的マーカー
ウイルス学:HIV-1感染に対する免疫学的予防
免疫学:オートファジーとループスの病因
細胞生物学:単一タンパク質が触媒するユビキチン化
遺伝子工学:幹細胞のCRISPR/Cas9による編集