Nature ハイライト
構造生物学:膜タンパク質の構造を脂質ナノディスクを使って保持する
Nature 534, 7607
TRP(transient receptor potential)チャネルは、幅広い物理的刺激や化学的刺激のセンサーとして機能している。今回D Juliusたちは、低温電子顕微鏡法と脂質ナノディスク技術を組み合わせて、カプサイシンの受容体であるTRPV1の膜二重層中での構造を解いた。その結果から、脂質とリガンド結合の調節の機構が明らかになった。精製したTRPV1タンパク質を脂質ナノディスク中で再構成するこの手法では、標的分子を安定化するためによく使われる界面活性剤や両親媒性ポリマーのアンフィポルなどよりも天然に近い環境中にタンパク質が存在することになるので、他の複雑な膜タンパク質についても三次元構造解析が促進される可能性がある。
2016年6月16日号の Nature ハイライト
幹細胞:タンパク質合成と幹細胞性
がん:p53とc-Myc経路の両方を標的にする
構造生物学:膜タンパク質の構造を脂質ナノディスクを使って保持する
地形学:ばらばらにならない彗星67Pの核
統計物理学:記憶の飛んでいない酔歩者の統計
材料科学:強誘電複合酸化物のモデル化
テクトニクス:南海トラフ地震発生帯
幹細胞:繊維芽細胞からニューロンへの再プログラム化
がん免疫学:抗PD-1/PD-L1抗体療法に対する反応性の診断マーカー
がん:膵臓がん治療の標的となるMusashiタンパク質
構造生物学:アミノ酸/代謝産物排出体の構造