Nature ハイライト
神経生理学:機械的疼痛を調節するNav1.1チャネル
Nature 534, 7608
電位依存性ナトリウム(Nav)チャネルのNav1サブタイプのいくつかに影響を与える変異が、無痛症や持続性疼痛症候群に関連することが明らかになっている。Nav1.1は体性感覚ニューロンに発現するが、このサブタイプと侵害受容との直接的な結び付きはまだ確認されていない。さらなる研究がこれまで難しかったのは、Nav1ファミリーのごく近縁なメンバー間を識別する薬理学的物質がなかったためである。今回D Juliusたちは、サブタイプNav1.1を特異的に標的とする2種類のクモ毒を明らかにし、これらを使って、このチャネルが有髄Aδ感覚繊維による機械的疼痛の特異的伝達に極めて重要だが、熱的疼痛の調節には重要ではないことを明らかにした。これまでのNav1.1の遺伝学的研究で、これに選択的に作用する薬物が、てんかんや自閉症、アルツハイマー病などの中枢神経系関連疾患において治療の道を開く可能性は示唆されていたが、今回報告されたような機械的疼痛の調節へのNav1.1の関与は予想されていなかった。
2016年6月23日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ハドロンを作る
神経生理学:機械的疼痛を調節するNav1.1チャネル
遺伝学:自然の遺伝的多様性とプロテオーム
構造生物学:TRPV6 Ca2+チャネルの構造
宇宙物理学:ブラックホール合体の検出に向けたロードマップ
量子物理学:素粒子物理学を模倣する4つのイオン
神経免疫学:ウエストナイルウイルスに関連した認知障害
細胞生物学:栄養飢餓状態でのオートファジーの誘導
発生学:ヒト受精複合体の構造
プロテオミクス:低分子プローブの発見