Nature ハイライト

発生学:ヒト受精複合体の構造

Nature 534, 7608

哺乳類の受精では、精子関連タンパク質IZUMO1が卵表面の受容体JUNOを認識するが、その相互作用の構造的詳細はこれまで分かっていなかった。今週号の2本の論文で、ヒトのIZUMO1とJUNOが結合したコンホメーションと結合していないコンホメーションの原子分解能構造が初めて報告された。H Aydinたちはブーメラン型構造のIZUMO1を示しており、彼らのデータはJUNOへの高親和性の結合においてIZUMO1が大きなコンホメーション変化を起こすことを示唆している。大戸梅治(東京大学)たちは、IZUMO1は細長い棒状構造をとっており、ヘリックスの束からなるIZUMOドメインが、βヘアピン領域により免疫グロブリン様ドメインとつながっていると報告している。両グループによるIZUMO1–JUNOの結合界面の変異導入解析で、結合に必要な構造的決定因子が明らかにされた。これらの結果は、新たな非ホルモン性の避妊薬、そして不妊治療の開発に役立つ可能性がある。

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