Nature ハイライト
構造生物学:TRPV6 Ca2+チャネルの構造
Nature 534, 7608
TRP(transient receptor potential)チャネルは陽イオン透過イオンチャネルのスーパーファミリーで、温度感覚や味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚などの感覚の変換器として働いている。TRPV5とTRPV6は、Ca2+に対する選択性が非常に高いTRPチャネルで、そのためカルシウム恒常性に極めて重要な役割を担っている。今回、ラットTRPV6の3.25 Å分解能でのX線結晶構造が報告された。TRPV6の全体構造はTRPV1のそれとかなりよく似ているが、新たに得られた構造から、異例に高いCa2+選択性は、選択性フィルター中のアスパラギン酸側鎖が作るリングがCa2+へ直接配位していることによっていると分かった。今回の結果は、上皮でのCa2+取り込みの調節と病態生理学におけるその役割を理解するための構造的基盤となるものだ。
2016年6月23日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ハドロンを作る
神経生理学:機械的疼痛を調節するNav1.1チャネル
遺伝学:自然の遺伝的多様性とプロテオーム
構造生物学:TRPV6 Ca2+チャネルの構造
宇宙物理学:ブラックホール合体の検出に向けたロードマップ
量子物理学:素粒子物理学を模倣する4つのイオン
神経免疫学:ウエストナイルウイルスに関連した認知障害
細胞生物学:栄養飢餓状態でのオートファジーの誘導
発生学:ヒト受精複合体の構造
プロテオミクス:低分子プローブの発見