Nature ハイライト
量子物理学:素粒子物理学を模倣する4つのイオン
Nature 534, 7608
量子シミュレーションは、古典的な手法では計算できない問題の解を得ることができる見込みがある。現代の素粒子物理学の最も重要な場の理論であるゲージ理論における実時間ダイナミクスは、困難な計算問題の1例である。今回、電磁場によって制御された捕獲カルシウムからなる少数個のキュービットで構成された量子コンピューター上で行われた、格子ゲージ理論のディジタル量子シミュレーションが報告されている。著者たちがシミュレートした具体的なモデルは、真空からの電子–陽電子対の生成を記述するシュウィンガー機構である。原子物理学実験によってシミュレートされる素粒子物理学理論の初期の例として、今回の結果は、こうした方法でなくては計算し難いより複雑なモデルのシミュレーションへの扉を開くかもしれない。
2016年6月23日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ハドロンを作る
神経生理学:機械的疼痛を調節するNav1.1チャネル
遺伝学:自然の遺伝的多様性とプロテオーム
構造生物学:TRPV6 Ca2+チャネルの構造
宇宙物理学:ブラックホール合体の検出に向けたロードマップ
量子物理学:素粒子物理学を模倣する4つのイオン
神経免疫学:ウエストナイルウイルスに関連した認知障害
細胞生物学:栄養飢餓状態でのオートファジーの誘導
発生学:ヒト受精複合体の構造
プロテオミクス:低分子プローブの発見