Nature ハイライト
幹細胞:がん幹細胞は脂質利用に依存する
Nature 538, 7623
がん幹細胞の化学療法に対する抵抗性の背景にある分子機構を明らかにするため、今回S Houたちはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いて研究を行った。その結果、脂肪分解経路が、化学療法が引き起こすネクローシスから幹細胞を保護していることが見いだされた。COPI–Arf1シグナル伝達複合体を調節して脂肪分解経路を弱めると、細胞死を起こしている幹細胞は、分化した細胞によって貪食された。著者たちはまた、これと同じ生存経路が、幹細胞の特性を持つヒトのがん細胞株でも機能している可能性を示す証拠を提示している。今回の結果は、休止している幹細胞やがん細胞が、貯蔵脂質に依存してエネルギーを得ている可能性を示唆しており、従って脂肪分解を阻害する薬剤を治療に用いることができるかもしれない。
2016年10月6日号の Nature ハイライト
構造生物学:Ton複合体の構造と機能
構造生物学:ヒトP2X3受容体のゲート開閉サイクル
惑星科学:67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の有機物質
化学:メタン生成の少ない、バイオマスからの低級オレフィン合成
生物地球化学:全球の化石燃料メタンの排出量の修正
人類移動:気候に駆動された人類の移動
神経科学:ニューロン可塑性の機序
幹細胞:がん幹細胞は脂質利用に依存する
がん:p53がん抑制因子でのアセチル化
細胞生物学:ヒトのミトコンドリア複合体Iの組み立て