Nature ハイライト
がん:p53がん抑制因子でのアセチル化
Nature 538, 7623
がん抑制因子p53はC末端ドメイン(CTD)のリシンがアセチル化されるが、このアセチル化の役割の詳細ははっきりしていなかった。今回W Guたちは、がんタンパク質であるSETが、アセチル化されていないp53に結合し、p53の転写活性を抑制することを明らかにした。細胞ストレスによってp53がアセチル化されると、SETは結合できなくなり、p53が活性化する。著者たちは、SETが持つ酸性ドメインが、アセチル化されていないp53 CTDを読み取る「リーダー」として働くことを示している。アセチル化は他のいくつかの調節因子にもある酸性ドメインとp53との相互作用も調節しており、このアセチル化依存的調節機構は自然界で広く見られるらしい。また計算解析からは、「リーダー」として働く可能性のある酸性ドメインを含むタンパク質や、これらの酸性ドメインの標的となるリシンに富んだ配列を含むタンパク質が多数見つかった。
2016年10月6日号の Nature ハイライト
構造生物学:Ton複合体の構造と機能
構造生物学:ヒトP2X3受容体のゲート開閉サイクル
惑星科学:67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の有機物質
化学:メタン生成の少ない、バイオマスからの低級オレフィン合成
生物地球化学:全球の化石燃料メタンの排出量の修正
人類移動:気候に駆動された人類の移動
神経科学:ニューロン可塑性の機序
幹細胞:がん幹細胞は脂質利用に依存する
がん:p53がん抑制因子でのアセチル化
細胞生物学:ヒトのミトコンドリア複合体Iの組み立て