Nature ハイライト
考古学:サルが作った剥片石器
Nature 539, 7627
ブラジルには、大量の石片を集積した遺跡が複数存在する。こうした集積や石片は、アフリカで300万年前のものとして発見されていたならば、初期の石器文化の証拠と見なされていたかもしれない。しかし今回、こうしたブラジルの石片集積については、それらの「製作者」が石片を実際に作製しているところが見つかった。ブラジルのカピバラ山地国立公園で、野生のヒゲオマキザル(別名クロスジオマキザル;Sapajus libidinosus)が意図的に石を打ち割っているのが観察されたのである。このサルがなぜ石を割るのかは不明だが、割った石をなめたりそのにおいを嗅いだりすることがあるため、石英の粉末または地衣類を摂取しているのではないかと推測される。一方、割った石の鋭い縁を使って何かを切ったりかき落としたりする様子は見られなかった。このサルは、これほど頻繁に石と関わる唯一の非ヒト族霊長類であり、また、このサルによる加工石の集積が他の地域で初期のヒト族の活動を表すと考えられているものに似ているという事実は、旧石器時代の人類の記録の解釈に有益な情報をもたらす。
2016年11月3日号の Nature ハイライト
構造生物学:蚊に効果がある殺幼虫物質BinABの構造
細胞生物学:ClpC–ClpPタンパク質分解複合体の分解シグナル
細胞生物学:がん細胞におけるテロメアの維持
生物工学:REXERを使ったコドンの置換
素粒子物理学:暗黒物質を見通す窓としてアクシオンを評価する
物性物理学:極低温のルビジウム87をかき混ぜるのではなく揺さぶる
地球力学:下部マントル条件でのブリッジマナイトのふるまい
考古学:サルが作った剥片石器
免疫抑制:骨髄前駆細胞の解析
がん:腎臓がんでのHIF-2阻害剤の働き