Nature ハイライト
社会行動学:個体群密度に応じた線虫の行動
Nature 539, 7628
社会的な合図が個体の行動をどのように変化させるのか、また、そうした応答の個体差にどの遺伝子が寄与しているのかという疑問は、細菌からヒトまで、多くの種においてほとんど解明されていない。今回J Greeneたちは、線虫の一種Caenorhabditis elegansの自然分離株では、個体群密度に対する採餌行動の応答が、フェロモン受容体(強力なアスカロシドicas#9の受容体srx-43)をコードする遺伝子の2つのバリアントによって異なることを明らかにした。集団遺伝学から分子遺伝学、神経科学、進化理論まで多分野にまたがる今回の研究は、平行選択が実証された希少な例であり、こうした平衡選択によって、ゲーム理論から予測されるような、単一種内における多様な社会的行動戦略の進化と共存が可能になる。
2016年11月10日号の Nature ハイライト
進化生物学:古い生物の新しい歯
進化遺伝学:Osteocrinは霊長類の脳の発生で働く因子である
社会行動学:個体群密度に応じた線虫の行動
光物理学:単一分子運動の映画
化学:活性化されていない脂肪族C–H結合の官能基化
環境科学:オーストラリア内陸の乾燥地帯に最初に踏み入った人類の痕跡
神経障害:脊髄損傷後の霊長類での歩行運動の回復
幹細胞:in vitroで再構築されたマウスの雌性生殖系列
がん幹細胞:白血病では変異が生じた微小環境が存在する
がん幹細胞:乏突起膠腫に見られるがん幹細胞