Nature ハイライト
神経障害:脊髄損傷後の霊長類での歩行運動の回復
Nature 539, 7628
G Courtineたちは今回、完全埋め込み型のワイヤレス脳・脊髄インターフェースを使い、脊髄片側を損傷させたサルの歩行運動を訓練なしで改善できることを示した。著者たちはまず、サルの運動皮質の脚領野に電極アレイを埋め込み、さらに腰髄に刺激器を埋め込んで、リアルタイムでのデコーディングと刺激ができるようにした。このシステムでは運動皮質からのデコードされた活動を使って、腰髄の「ホットスポット」部位を刺激すると、それによって歩行運動中の後肢の屈曲および伸展が調節される。無傷状態のサルでは、歩行運動中のこのようなホットスポット刺激によって標的となる筋の屈曲や伸展が強化された。次いでこのサルで脊髄片側を損傷させたところ、損傷を受けてから6日後には麻痺した後肢の負荷歩行運動が回復した。この原理実証研究は、同じようなシステムによって脊髄損傷患者の歩行運動を改善または回復できる可能性を示している。
2016年11月10日号の Nature ハイライト
進化生物学:古い生物の新しい歯
進化遺伝学:Osteocrinは霊長類の脳の発生で働く因子である
社会行動学:個体群密度に応じた線虫の行動
光物理学:単一分子運動の映画
化学:活性化されていない脂肪族C–H結合の官能基化
環境科学:オーストラリア内陸の乾燥地帯に最初に踏み入った人類の痕跡
神経障害:脊髄損傷後の霊長類での歩行運動の回復
幹細胞:in vitroで再構築されたマウスの雌性生殖系列
がん幹細胞:白血病では変異が生じた微小環境が存在する
がん幹細胞:乏突起膠腫に見られるがん幹細胞