Nature ハイライト
光物理学:単一分子運動の映画
Nature 539, 7628
単一分子の動きを直接観察するには、超高速時間分解能と原子スケールの空間分解能を組み合わせた測定が必要となる。今回J Reppたちは、走査トンネル顕微鏡と、レーザーパルスを使って電子運動を最速の時間スケールで直接操作する技術である光波エレクトロニクスを組み合わせると、これが可能になることを示している。この方法では、光パルスによって、トンネリングチャネルが一時的に開かれ、個々の分子の最高被占分子軌道から電子が1つ除去される。この効果によって、軌道構造の一連のフェムト秒スナップショット画像を記録して、分子振動をオングストローム以下の空間分解能で直接追跡し、このスナップショットを単一分子の映画として示すことが可能になる。この方法は、光時計の速度で個々の分子内部の電子運動を制御する可能性に向けた一歩となる。
2016年11月10日号の Nature ハイライト
進化生物学:古い生物の新しい歯
進化遺伝学:Osteocrinは霊長類の脳の発生で働く因子である
社会行動学:個体群密度に応じた線虫の行動
光物理学:単一分子運動の映画
化学:活性化されていない脂肪族C–H結合の官能基化
環境科学:オーストラリア内陸の乾燥地帯に最初に踏み入った人類の痕跡
神経障害:脊髄損傷後の霊長類での歩行運動の回復
幹細胞:in vitroで再構築されたマウスの雌性生殖系列
がん幹細胞:白血病では変異が生じた微小環境が存在する
がん幹細胞:乏突起膠腫に見られるがん幹細胞