Nature ハイライト
環境科学:オーストラリア内陸の乾燥地帯に最初に踏み入った人類の痕跡
Nature 539, 7628
現生人類は、5万年前にはオーストラリアに到達していた。しかし、こうした初期の移住者たちが、地球上で最も乾燥した大陸の中でもより乾燥した内陸部での暮らしを可能にする高度な技術を備えていたのかどうか、備えていたとすればそれをいつ編み出したのかについては、いくらか疑問視されてきた。だがその答えは、そうした技術は確かに存在し、しかも短期間で開発された、というものだったようだ。G Hammたちは今回、南オーストラリア州フリンダース山脈の岩窟住居で発見された、約4万9000年前というオーストラリア内陸の乾燥地帯における既知で最古の人類定住例を報告している。この遺跡の岩石に見られる層状構造からは、骨角器やナイフ形石器、赤土および石膏といった顔料などの技術の、オーストラリアにおける最古の使用例を示す痕跡が発見された。この遺跡にはまた、大型有袋類ディプロトドン(Diprotodon optatum)の存在を示す証拠、および巨大な鳥類ゲニオルニス(Genyornis newtoni)のものと思われる卵殻も保存されている。これらは、4万6000年以上前の人工物を伴って見つかった、年代が確実で層状のものとしてはオーストラリアの絶滅大型動物相の唯一の記録である。
2016年11月10日号の Nature ハイライト
進化生物学:古い生物の新しい歯
進化遺伝学:Osteocrinは霊長類の脳の発生で働く因子である
社会行動学:個体群密度に応じた線虫の行動
光物理学:単一分子運動の映画
化学:活性化されていない脂肪族C–H結合の官能基化
環境科学:オーストラリア内陸の乾燥地帯に最初に踏み入った人類の痕跡
神経障害:脊髄損傷後の霊長類での歩行運動の回復
幹細胞:in vitroで再構築されたマウスの雌性生殖系列
がん幹細胞:白血病では変異が生じた微小環境が存在する
がん幹細胞:乏突起膠腫に見られるがん幹細胞