Nature ハイライト
微生物学:環境中の非メタン炭化水素の酸化
Nature 539, 7629
天然ガスの嫌気的酸化に関する研究はこれまで、その最大構成成分であるメタンに注目したものがほとんどだった。一方、天然ガスの約20%を占める短鎖アルカン(エタン、プロパン、ブタン、およびイソブタンなど)の嫌気的代謝の仕組みについてはあまり明らかにされていない。短鎖炭化水素を嫌気的に酸化することが知られている生物は、今のところ硫酸還元細菌のみである。G Wegenerたちは今回、アーキアおよび細菌の密なコンソーシアムからなる嫌気好熱性の集積培養では、ブタンの酸化に、嫌気的メタン酸化と類似の経路が使われていることを明らかにしている。この経路は、これまでC1化合物に特異的だと考えられていた。アーキアによってブタンが活性化され、還元当量はパートナー細菌である硫酸還元細菌に供給される。海底表層堆積物中からは類似の微生物コンソーシアムが検出されていることから、この経路が自然界に広く存在している可能性が示唆される。
2016年11月17日号の Nature ハイライト
神経科学:睡眠パターンを制御する遺伝子
幹細胞生物工学:造血幹細胞での遺伝子ターゲッティング
がんの代謝:LKB1に関連するがんでのエピジェネティック機構
微生物学:環境中の非メタン炭化水素の酸化
高分子:ウエアラブルエレクトロニクス用の新しいポリマー
地球化学:沈み込み帯の流体のpHと岩石の化学的性質
生態学:植物の栄養と害虫に対する脆弱性
神経科学:アストロサイトのカルシウム信号とリンクした行動
免疫学:マクロファージのPI 3キナーゼγは免疫抑制を制御する
免疫学:チェックポイント阻害に対する耐性の原因
分子生物学:Hsp70の作用の新規な機構
遺伝子調節:lncRNA機能の探索