Nature ハイライト
免疫学:マクロファージのPI 3キナーゼγは免疫抑制を制御する
Nature 539, 7629
マクロファージは特殊化した免疫細胞で、炎症を刺激することも、阻害することもある。今回J Varnerたちは、マクロファージのキナーゼの1つのアイソフォームであるPI 3キナーゼγ(PI3Kγ)の活性化状態が、がんと炎症性疾患での免疫抑制と免疫活性化の間の切り替えを調節できることの証拠を明らかにしている。PI3Kγを阻害すると、腫瘍関連マクロファージの免疫抑制機能が低下してT細胞の細胞傷害性が促進される。PI3Kγの阻害と免疫チェックポイント阻害を併用すれば、相加的もしくは相乗的な腫瘍阻害効果が得られる。この研究は、マクロファージのシグナル伝達経路を阻害の標的とすることが、がん患者の長期生存を改善するための新規な方法となる可能性を示唆している。
2016年11月17日号の Nature ハイライト
神経科学:睡眠パターンを制御する遺伝子
幹細胞生物工学:造血幹細胞での遺伝子ターゲッティング
がんの代謝:LKB1に関連するがんでのエピジェネティック機構
微生物学:環境中の非メタン炭化水素の酸化
高分子:ウエアラブルエレクトロニクス用の新しいポリマー
地球化学:沈み込み帯の流体のpHと岩石の化学的性質
生態学:植物の栄養と害虫に対する脆弱性
神経科学:アストロサイトのカルシウム信号とリンクした行動
免疫学:マクロファージのPI 3キナーゼγは免疫抑制を制御する
免疫学:チェックポイント阻害に対する耐性の原因
分子生物学:Hsp70の作用の新規な機構
遺伝子調節:lncRNA機能の探索