Nature ハイライト
構造生物学:タンパク質の動きと生物学的機能を結び付ける
Nature 540, 7633
X線結晶学では大型のタンパク質の三次元構造を原子分解能で明らかにすることができるが、得られるのは静止状態の像だけである。今回R Ranganathanたちは、タンパク質の結晶に強い電場を照射しながら、時間分解X線回折パターンを集めることで、タンパク質の構成原子全ての力学的な動きを追跡した。こうした動きは、機械に似たタンパク質が稼働する仕組みの核心である。タンパク質の力学的性質を調べるこの方法は、分子生物学や創薬に直接関わりがあるだけでなく、材料科学あるいは電気工学の分野での物理学的研究にも刺激を与えるだろう。
2016年12月15日号の Nature ハイライト
構造生物学:タンパク質の動きと生物学的機能を結び付ける
酵素生物学:ニコチンアミド依存性酵素の新たな活性
水文学:地球の地表水の変化を示す地図
神経発生疾患:自閉症トランスクリプトームの大規模解析
幹細胞:Hox遺伝子と筋幹細胞の衰え
がん:急性白血病におけるLSC17スコアの評価
ウイルス学:ジカウイルスはマウスの精巣に損傷を与える
ウイルス学:抗ジカウイルス抗体はウイルス複製を阻害する
免疫学:C型レクチン受容体を介した抗HIV活性
生物エネルギー学:光化学系IIの室温での構造
創薬:ケモカイン受容体の小分子アンタゴニスト