Nature ハイライト
幹細胞:Hox遺伝子と筋幹細胞の衰え
Nature 540, 7633
筋肉の幹細胞である衛星細胞は損傷後の筋再生を担っているが、その修復能力は加齢に伴って衰える。Hox遺伝子は、胚発生における器官形成の調節因子であるが、これまでのところ加齢との関連については知られていなかった。L Rudolphたちは今回、活性なクロマチン標識の変化や老化した衛星細胞の変化がHoxa9の活性化を引き起こし、この活性化が次に、通常は発生で働いているが、衛星細胞の機能に対する抑制効果を持つ遺伝子や老化の誘導に重要であることが知られている遺伝子の発現を誘導することを明らかにしている。老齢マウスにおいてこの活性化を阻害すると筋再生が救済され、逆に若齢マウスでHoxa9の発現を誘導すると衛星細胞の機能と筋再生が障害された。
2016年12月15日号の Nature ハイライト
構造生物学:タンパク質の動きと生物学的機能を結び付ける
酵素生物学:ニコチンアミド依存性酵素の新たな活性
水文学:地球の地表水の変化を示す地図
神経発生疾患:自閉症トランスクリプトームの大規模解析
幹細胞:Hox遺伝子と筋幹細胞の衰え
がん:急性白血病におけるLSC17スコアの評価
ウイルス学:ジカウイルスはマウスの精巣に損傷を与える
ウイルス学:抗ジカウイルス抗体はウイルス複製を阻害する
免疫学:C型レクチン受容体を介した抗HIV活性
生物エネルギー学:光化学系IIの室温での構造
創薬:ケモカイン受容体の小分子アンタゴニスト