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Cover Story:鱗の色を変える:セルオートマトンが作り出すホウセキカナヘビの皮膚パターン

Nature 544, 7649

ホウセキカナヘビ(<i>Timon lepidus</i>)の皮膚の模様。
ホウセキカナヘビ(Timon lepidus)の皮膚の模様。 | 拡大する

Credit: Michel C. Milinkovitch

シマウマの縞模様やヒョウの斑点模様などの動物界における巨視的なパターンは、生体細胞スケールで生じる過程によって説明することができる。今回M Milinkovitchたちは、ホウセキカナヘビというトカゲの皮膚でパターン形成を調整する動的過程を明らかにしている。著者たちは、パターンの変化を4年間にわたって記録し、色の変化が、個々の皮膚の鱗のレベルで生じる六角形のセルオートマトン、つまり隣接する要素の状態に応じて状態が変化する要素からなる格子の規則に従うことを見いだした。数値シミュレーションと数学的導出からは、皮膚の厚さのばらつきを考慮に入れると、そうした離散的な系が連続的な反応拡散の枠組みからメゾスコピックなスケールで現れる可能性があることが示された。今回の結果は、セルオートマトンが抽象的な計算上の系であるだけでなく、生物進化によって生じた過程に直接対応し得ることを示唆している。

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