Nature ハイライト
進化学:アボリジニの最初の移動経路
Nature 544, 7649
オーストラリアのアボリジニは、現在知られている中で最も長く続いている文化複合体の1つで、考古学的証拠から、オーストラリア大陸への人類の最初の定着は約5万年前とされている。A Cooperたちは今回、過去に採取され長く保存されていたオーストラリア・アボリジニの111例の毛髪試料について、ミトコンドリアゲノムの塩基配列を解読して遺伝的解析を行い、オーストラリアに到達した人類がその後大陸内でどのように移動したかをたどった。その結果、人類はオーストラリア北部に上陸した後、東西に分かれて海岸沿いに急速に広がり、4万9000年前にはオーストラリア南部で再び出会っていたことが明らかになった。ミトコンドリアDNAの多様性に著しい地域的パターンが見られることから、移動をやめた人々はそこにとどまって文化的な根を下ろし、そうした根は5万年間にわたり、文化や気候の大規模な変化に耐えて存続してきたことが示唆された。
2017年4月13日号の Nature ハイライト
進化学:アボリジニの最初の移動経路
生理学:脂質による寿命延長
構造生物学:明らかになったメディエーターの柔軟性
天文学:ガスのアウトフローの中で誕生する星
生物物理学:単層上皮のトポロジカル欠陥の機能的役割
環境科学:地球規模の持続可能性の目標を達成する
海洋保全:魚の分け合いに損はなし
保全ゲノミクス:オニヒトデのゲノム解読
遺伝学:ヒトの遺伝子ノックアウト研究
神経科学:Myt1lは非ニューロン性運命を抑制する