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進化学:アボリジニの最初の移動経路

Nature 544, 7649

オーストラリア・ケープヨーク半島東部にあるアボリジニの岩窟住居。人類学者のNorman Tindale(写真左)たちは学術調査を行う間、アボリジニの住居で過ごしていたという(1927年2月撮影)。
オーストラリア・ケープヨーク半島東部にあるアボリジニの岩窟住居。人類学者のNorman Tindale(写真左)たちは学術調査を行う間、アボリジニの住居で過ごしていたという(1927年2月撮影)。 | 拡大する

Credit: South Australian Museum Archives Norman Tindale Collection (AA 338/5/4/41)

オーストラリアのアボリジニは、現在知られている中で最も長く続いている文化複合体の1つで、考古学的証拠から、オーストラリア大陸への人類の最初の定着は約5万年前とされている。A Cooperたちは今回、過去に採取され長く保存されていたオーストラリア・アボリジニの111例の毛髪試料について、ミトコンドリアゲノムの塩基配列を解読して遺伝的解析を行い、オーストラリアに到達した人類がその後大陸内でどのように移動したかをたどった。その結果、人類はオーストラリア北部に上陸した後、東西に分かれて海岸沿いに急速に広がり、4万9000年前にはオーストラリア南部で再び出会っていたことが明らかになった。ミトコンドリアDNAの多様性に著しい地域的パターンが見られることから、移動をやめた人々はそこにとどまって文化的な根を下ろし、そうした根は5万年間にわたり、文化や気候の大規模な変化に耐えて存続してきたことが示唆された。

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