Nature ハイライト
神経科学:Myt1lは非ニューロン性運命を抑制する
Nature 544, 7649
標的とする細胞運命プログラムを調節する転写因子の発現により細胞系譜の再プログラム化を行うためには、ドナー細胞の遺伝子発現をサイレンシングすることが必要である。これまでの知見から、由来の異なる細胞にはそれぞれ異なる再プログラム化カクテルが必要だろうと考えられているが、興味深いことにこれまでそのような実験結果は示されていない。M Wernigたちは今回、全てのニューロンで発現しているニューロン再プログラム化因子Myt1lが、マウスにおいて、他の細胞タイプからの再プログラム化の際や、神経発生中および初代培養ニューロンで、他の細胞系譜を抑制することでニューロンの運命を促進していることを見いだした。彼らのデータは、特定の細胞運命を維持するにはエピジェネティック標識を変化させるだけでは十分でなく、ニューロンのアイデンティティーを付与するために、他の細胞系譜が積極的に抑制されていることを示唆している。
2017年4月13日号の Nature ハイライト
進化学:アボリジニの最初の移動経路
生理学:脂質による寿命延長
構造生物学:明らかになったメディエーターの柔軟性
天文学:ガスのアウトフローの中で誕生する星
生物物理学:単層上皮のトポロジカル欠陥の機能的役割
環境科学:地球規模の持続可能性の目標を達成する
海洋保全:魚の分け合いに損はなし
保全ゲノミクス:オニヒトデのゲノム解読
遺伝学:ヒトの遺伝子ノックアウト研究
神経科学:Myt1lは非ニューロン性運命を抑制する