Nature ハイライト

Cover Story:トポロジーに関する新たな展開:電子バンド構造の完全な理論で化学と物理学が融合

Nature 547, 7663

過去数十年の間に、数学的なトポロジーの法則によって物質の性質を決定できるという意外な事実が明らかになった。しかし、どのような構造がトポロジカルな特徴を持ち、どのような構造が持たないのだろうか。物質がトポロジカル的に興味深いかどうかその可能性を予測するのは困難な課題であり、物理学者たちがこれまでに見つけたトポロジカルな化合物は数百種にすぎない。今回、物理学者、数学者、化学者による国際共同研究によって、物質の電子バンド構造のトポロジカル特性を計算する新しい完全な理論という形で、こうした課題を解決できる方法が得られた。彼らは、非局所的な運動量空間における電子特性を検討する従来のバンド構造の方法と局所的な化学結合とを組み合わせることによって、これまでは切り離されていた物理学者と化学者の視点を結び付けたのである。その結果、彼らは、電子バンド構造の理論を完成し、格子サイトにおける原子軌道の局所的な状況に起因して結晶がとり得る230の対称性群全てについてバンド構造を分類できるようになった。彼らは、この理論を用いて、どのような構造がトポロジカルに非自明であるかを決定するとともに、新種の物質をいくつか発見した。この理論は、エキゾチックな特性を持つ材料のさらなる探索を大きく簡略化し、既存のトポロジカル物質の根底にある物理にも光を当てるはずである。

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