Nature ハイライト
化学的生命の誕生:柘榴石に見いだされた初期の有機生命体の証拠
Nature 548, 7665
太陽光に照らされた海洋表層のストロマトライトから深海底の熱水噴出孔まで、37億年前に有機生命体が存在していたことを示す証拠が増えつつある。今回、グリーンランドの37億年前の岩石に由来する柘榴石に含まれていた、軽度に変成した有機物質の微小な包含物が報告されている。著者たちは、原子間力顕微鏡と赤外分光法とを組み合わせた比較的新しい技術を用い、こうした包含物中のさまざまな化学結合(カルボニル、無水物、リン酸塩およびニトリルなど)の存在状況をマッピングした。今回の研究は、これらの岩石中の炭素同位体に関する以前の研究結果を裏付けるだけでなく、特定の化学結合の存在を明らかにしてこの年代における有機生命体の存在を示すはるかに強力な証拠を見いだすことで、さらに踏み込んだ知見をもたらしている。
2017年8月3日号の Nature ハイライト
幹細胞:視床下部は老化速度を制御する
天文学:成層圏を持つ系外惑星
素粒子物理学:反水素のスペクトルを評価する
化学的生命の誕生:柘榴石に見いだされた初期の有機生命体の証拠
感染症:雨林の野生生物への炭疽の脅威
ゲノミクス:デンマークのゲノム塩基配列解読プロジェクト
神経科学:皮質におけるタイムリーな符号化
神経科学:齧歯類における網膜再生
微生物学:ウシからHIV中和抗体を搾る
代謝:AMPK活性化の新しい機構